実践記

自分らしく生きたいと願うのは悪いこと? 後悔しない生き方を探る

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けんすけ@生涯現役
「60にして立つ」
30年遅れで不惑を目指す

 

もう40年近く前のことになる。

私は大学卒業を控え、進路を決めかねていた。

就職できるだけでもありがたい、
という今とは時代が違う。

当時と今では、日本社会の構造自体が変わってしまったように思う。

当時は「総中流」と言われていて、
社会全体に中流意識が広まっていた。

それなりの収入、それなりの暮らし、
普通に働いていれば「郊外に一軒家」も夢ではなかった。

今回は、そんな時代の思い出など語ってみよう。

バブル前夜

当時は売り手市場だった。

まだバブル前、高度成長期は一段落していたが、
日本はそれなりに景気がよかった。

ここで「売り手」と言ったのは、
就職活動のことだ。

大手企業の新規採用枠は広く、
友人らは次々に決まっていった。

最初に面接に行ったその日に採用という者もいて、
軒並み落ちて目を窪ませて…などという人は見かけない。

今から思えばいい時代だった。

 

そんな頃、私はひとり就職活動から離れ、ぽつねんとしていた。

企業回りをする気にならず、何をするでもない日々を送っていた。

企業に就職し、長年勤めあげてそれなり昇進して…

そんな自分の未来が想像できなかったからだ。

そもそも、1つの職場に「長年勤める」自信がなかった。

 

就職氷河期を経験している人からすれば、
「何を贅沢な!」
とお叱りを受けそうな話だ。

当時は、ヒッピーもまだ生き残っていて、社会のレールから外れる生き方に、
一種のステータスがあった。

評価はされなくとも、
「そういう生き方もあるよね」
と容認されるような雰囲気があった。

 

自分もそんな時代の影響を受けていたことは否めない。

バブルが到来し、日本中でバカ騒ぎが始まる、
ほんの数年前のことだ。

価値相対主義が主流を占め、
人々の価値は多様化していた。

今のように、何か事件があると、社会全体が一斉に同じ反応をするということもなかった。

 

☆これはSNSなど情報技術の進化によるところが大きいと思っている。当時は携帯はもちろん、パソコンもなかった。

 

価値の多様化は、いろいろな文化を生む。

当時サブカルチャーと呼ばれる一群が幅をきかせていたが、
私の心を惹きつけたのは、メインではなく、このサブの方だった。

フリーターという生き方

サブカルチャーは、妖しく、退廃的。

その中にとんでもないパワーを秘めていて、
地下で蠢いているマグマの胎動を感じさせた。

サブカルチャーはレールから外れているからサブなのであって、
それを体現するなら、レールはあえて無視するしかない。

結局就職活動はせず、そのまま卒業を迎え、
フリーターになった。

学生時代から仕送りなしで、一人暮らしをしていたので、
フリーターと言ってもその延長のようなものだ。

違いと言えば、学生という身分がなくなったことと、
授業に出なくてよくなったことくらい。

アルバイトに行き、空いた時間には本を読む。

そんな生活が続いた。

繰り返すが、当時はパソコンはなく、ネットで何かすることはできない。

空いた時間は、本を読むか友人と飲み明かすか、
そのくらいしかやることはない。

 

当時彼女もおらず、
就職しなくとも誰にも責められないという事情もあった。

※親は何も言わなかった。言いたいのを我慢していたのかもしれないが。

フリーターという選択は、その後の人生に決定的な影響を与えた。

もちろん様々な不利益は承知の上だったが、当時は、
「まあ、何とかなるさ」
という程度の軽い気持ちだった。

結局、収入や生活の安定という点では、
生涯にわたって悩まされることになるのだが、
若い内はそんなことは考えない。

自分の思うまま突っ走るのが人生だ、
と信じていた。

 

だが、当時の選択を後悔したり、
間違っていたと思ったことは、実は一度もない。

いろいろと苦労はしたが、
それが自分に相応しい人生だと思っていた。

少なくとも、大手企業に就職して歩む人生よりは
自分らしいと感じていた。

 

自分らしく生きられれば、それでいいじゃないか。

 

その思想が、この60年の人生を支配していたような気がする。

実は、フリーターになった一番大きな動機は、
「芝居」に対する憬れがあったのだが、

これについては、また別途記事にしよう。

 

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IZUMI HASHIMOTO
IZUMI HASHIMOTO

学生時代に友人に誘われ演劇を始め、大学卒業後、就職せずに芝居の道に入る。旅公演で全国を巡るなどしていたが、30代半で塾講師に転身。さらに40歳で全く未経験のIT業界に就職。会計専門のSEになる。60歳で定年を迎えたの機に、新しくビジネスを始めると共に、魂や心にまつわる発信をライフワークにするべく研究・研鑽を重ねている。

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