マインドセット

ウケ狙いで突っ走って失敗した話

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こんにちは、けんすけです。

 

私は若い頃、プロフィールにも書きましたが、お芝居にはまっていました。

 

最初は仲間内で劇団を作り、公演を重ねていたのですが、徐々にそれでは飽き足らなくなり、他の劇団に顔を出すようになっていきます。

 

私が所属した劇団のひとつに、旅公演を専門にしているものがありました。

 

旅に出る前は東京の稽古場で練習を積みますが、一旦出発すると、日本全国ぐるぐる回り、数ヶ月は戻りません。

 

今回は、その長い旅の間に、東京の稽古場で学んだことを忘れ、芝居を崩してしまった失敗談をお話しします。

 

旅公演で爆笑をとる

何本かの芝居を持って旅に出るのですが、その内のひとつに海賊をテーマにした舞台がありました。

 

その舞台の一場面で、私が妖しげな仮面を被って

「たいへんだ〜!」
と叫びながら舞台を一周する、というくだりがあったのです。

 

一周回った後、主人公に、何が大変なのか告げるのですが、

東京の稽古場では、ただ主人公の前に立ち止まる、という演出でした。

 

旅に出てしばらくした頃、ただ立ち止まるのではなく、
主人公が手にしているノートで私の頭を叩いてストップさせる、という形になりました。

 

別に深い意味はなく、その方が面白そうだから、ということで変えたのです。

 

そんなある日のこと、私がいつものように全速で舞台を一周駆け、

主人公が「どうした!」と言って私の頭を叩いたのですが、
その瞬間、私が足をすべらせてもろこけしてしまいました。

 

相手役の主人公は、段取りにない展開で「しまった」と思ったらしいのですが、

この予期せぬ転倒が大ウケ、大爆笑となって、舞台は大いに盛り上がりました。

 

これに気をよくした私らは、その動きを定番化して、別の公演でも笑いを取りに行きました。

 

もともとコミカル要素のある芝居なので、違和感はなかったのです。

 

乱れて意図とは違うものになっていた!?

ある時、劇団の団長が旅公演を見にきました。

団長は東京の稽古には顔を出しますが、旅の様子を見に来るのは珍しいことです。

 

いつものように舞台は盛り上がり、メンバーは気をよくしていました。

 

なので、公演が終了し、団長が皆を集めた話したことに、みな意外な思いを抱いたのです。

 

「舞台が、稽古の時から随分と崩れいる。乱れて、芝居をつまらなくしている」

 

公演の演目は、全て団長が書いています。作者としては、ふざけた動きで取る笑いは邪魔だったのでしょう。

 

私らはウケたいがため、いつしか作者の思いとは別の方向に走っていたのです。

 

団長のお叱りで、メンバーはそのことに気付かされました。

 

爆笑という成功体験が、もっと笑いを取りたいという気持ちを助長して、気づかぬうちに当初の演出から離れていきました。

 

観客は笑ってくれましたが、それで芝居で本当に伝えたいことがうまく伝わらなかったとしたら、それこそ本末転倒というものです。

 

初心に戻れ

芝居に限らず、成功体験は知らず知らず、方向性を変えていきます。

 

例えばビジネスでも、最初は

「よいサービスを提供して、誰かの役に立ちたい」

という志を持っていたとしても、

 

一旦大きく売れてしまうと、次にはより「売れる」工夫をし始めます。

 

それがやがて「売れればいい」というビジネススタイルに変わっていく。

 

その危険は誰にでもあります。

 

 

何に挑戦するにしても、時代の流れは早いので、

手を変え品を変え、順応していくことは正しいのですが、

 

それが結果的に、当初の意図と違うところに行き着く原因にもなります。

 

自分の変化はなかなか気づきませんし、通常振り返ることもしません。

 

旅公演でも、団長に指摘されて初めて「そうか」と自省するキッカケを得ました。

 

今自分のやっていること、目指していることが、

「本当に自分にとって正しいことなのか」

一度振り返ってみてはいかがでしょう。

 

そのための指針は、

「初心に戻る」

ことで得られます。

 

何につけ、始めた頃の、まっさらな気持ちを思い出してみてください。

 

その中に、新たな気づきがあるかもしれませんよ。

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この記事を書いた人

IZUMI HASHIMOTO
IZUMI HASHIMOTO

学生時代に友人に誘われ演劇を始め、大学卒業後、就職せずに芝居の道に入る。旅公演で全国を巡るなどしていたが、30代半で塾講師に転身。さらに40歳で全く未経験のIT業界に就職。会計専門のSEになる。60歳で定年を迎えたの機に、新しくビジネスを始めると共に、魂や心にまつわる発信をライフワークにするべく研究・研鑽を重ねている。

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